(23)本来の女性は、
     人生の大地のようである

光に向かって100の花束

 事業に失敗し、ぼうぜんと帰宅した男が、妻にこういった。
「もうダメだよ、オレは。あきらめてくれ。家中の財産は灰まで執行吏に差し押さえられることになったんだ」
 どんなに嘆き悲しむかと思いきや、意外に妻は、微笑してこうたずねた。
「それは大変ね。しかし執行吏は、あなたの身体も差し押さえるのですか」
「いや、そんなことはない」
「じゃ、私の身体が差し押さえにあうの」
「いやいや、おまえは関係ないよ」
「坊やは?」
「子供なんか、問題でない」

「それじゃあなた、なんですか。家中のものをなくすというわけじゃないじゃないの。健康な私たちと、夢を秘めた子供たち──一番大切な財産が残るじゃありませんか。
 私たちは少しだけ遠回りしただけでしょう。お金や財産なんか、これからの心がけ次第で、いくらでもできるじゃありませんか」

 妻のたのもしい励ましに、しょげていた主人の顔は、パッと一度に明るくなって、みごと、苦境を克服したという。

 実験で、ウサギの足にギブスを巻く。
 オスはたちまち怒り、首をふり、ギブスをかみ、束縛から逃れようと必死の努力を試みる。
 この間もちろん、エサなど食べようとはしない。ひたすらかじり続けるのである。
 ところがメスは、初めの1時間ぐらいは、やはりかじるが、そのうちダメだと知るとあっさりあきらめ、食事をとり、休養し、ムダな体力のロスはしないという。
 この結果、先に弱って死ぬのは言わずと知れたオスで、その愚かな弱さと、メスの一種独特のしたたかな強さは、人間のそれに似ているようだ。
 そういえば女性の平均寿命が、いつも勝っているのもうなずける。

 本来の女性は人生の、やはり大地のようである。

高森顕徹著 光に向かって 100の花束より)

 

 

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更新履歴

2010.07.06『光に向かって100の花束』の書評

2010.07.01ミッドウェーで優勢であった日本艦隊が、なぜ敗れたのか(光に向かって)

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2010.06.22親鸞聖人の虚像と実像(白道燃ゆ)

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2010.06.9智恵ある者に怒りなし。よし吹く風荒くとも、心の中に波たたず(光に向かって)

2010.05.25ああ、おれも子供に門番にさせられることがあるのか(光に向かって)

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2009.1.20平成21年 年頭所感

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