(30)屏風と商売は
     曲がらにゃ立たぬか
      そろばんの教訓

光に向かって100の花束


(Photo by aussiegall)

 九州博多の聖福寺の和尚であった仙崖が、あるとき、大福帳とそろばんの絵をかき、その上に賛をした。

「手もとを上ぐれば向こうにゆく。手もとを下ぐればこちらにくる。わするな、わするな」

 そろばんというものは、手もとを上げると、玉はガラガラと向こうにゆく。手もとを下げると、玉はガラガラとこちらへくるものである。
 それと同じで、品物を悪くして値段を上げると、お得意さんもガラガラと向こうにいってしまう。
  品物を良くして値段を下げると、お客はガラガラとこちらのほうにきて、商売は大繁盛する。
 忘れるなよ、忘れるなよ、といましめている。
「屏風と商売は曲がらにゃ立たぬ」
と、世間には平気で、あくどい商売をする者がいるが、決して成功はできない。
「ドカ儲けすりゃ、ドカ損する」
といわれるように、曲がったことで金儲けすれば、一時は儲かるかもしれぬが不信用もえて、必ず後がふさがるものだ。

 信用は巨万の財産である。儲かるという字は、“信用ある者”とあるではないか。

高森顕徹著 光に向かって 100の花束より)

 

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